相続した土地の売却はどう進める?手続きと注意点をやさしく解説の画像

相続した土地の売却はどう進める?手続きと注意点をやさしく解説

不動産売却

大島 康弘

筆者 大島 康弘

不動産キャリア11年

「住まいを通じて人生を豊かにすること」を理念に、日々挑戦を続けています。
売って終わりではありません。むしろ、お客様が暮らし始めてからこそ本当のお付き合いが始まります。
まるで隣人のように、気軽に住まいの困りごとをご相談いただける存在でありたいと思っています。
そして、地域の未来を見据えて、街そのものをプロデュースする事を目指しています。
安心で快適な暮らしを創造し続けることが私の目標です。

親から相続した土地や土地付き建物を、このまま持ち続けるべきか、それとも売却した方が良いのか。
相続した土地の売却や手続きは、初めての方にとって分かりにくく、不安を感じやすいポイントがいくつもあります。
相続登記の義務化や相続土地国庫帰属制度など、ここ数年で制度も大きく変わり、対応を後回しにすると思わぬリスクにつながることもあります。
そこで本記事では、相続した土地を売却するまでの基本的な流れから、登記や名義変更の手続き、税金と特例制度、さらには売却以外の選択肢までを整理して解説します。
まずは全体像をつかみ、自分や家族にとって無理のないベストな判断ができるよう、順を追って確認していきましょう。



相続した土地を売却する前に確認すべき基本事項

親から相続した土地や土地付き建物を売却するには、まず相続人同士で遺産分割協議を行い、誰がその不動産を取得するかを確定させることが重要です。
そのうえで、法務局で相続登記を行い、登記簿上の名義を相続人に変更してから、売却の査定や買主探し、売買契約、引き渡しへと進む流れになります。
相続登記が済んでいないと売却手続きが進められないため、早めに準備を始めることが大切です。
また、相続人が多い場合や意思が揃わない場合には、協議が長期化し売却時期が遅れるおそれがあるため、段取りを意識して進める必要があります。

令和6年4月1日からは、不動産を相続した相続人に対し、相続登記の申請義務が設けられています。
相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠った場合には10万円以下の過料の対象となります。
また、令和6年3月31日以前に開始した相続で相続登記をしていないものについても、遅くとも令和9年3月31日までに申請する必要があります。
売却を検討している場合は、罰則の有無にかかわらず、相続登記を早期に済ませておくことで、買主候補が現れた際にもスムーズに契約まで進めやすくなります。

相続した土地は、売却する以外にも、一定の条件を満たすと国に所有権を引き渡す「相続土地国庫帰属制度」を利用できる場合があります。
この制度は、相続等により取得した土地のうち、建物がなく管理が比較的容易な土地など、法律や政令で定められた要件を満たすものに限って、負担金を納付して国庫に帰属させる仕組みです。
一方、売却は買主が見つかれば代金を受け取れる反面、境界の明確化や測量、建物の老朽化への対応など、事前準備に時間や費用を要することがあります。
土地を手放したい目的や、将来の管理負担、売却代金の必要性などを踏まえて、売却と国庫帰属のどちらが自分の状況に合うかを検討することが大切です。

確認すべき項目 売却を選ぶ場合 国庫帰属を検討する場合
主な目的 売却代金の確保 将来の管理負担軽減
必要な主な手続き 遺産分割協議と相続登記 要件確認と承認申請
想定される負担 測量費用や修繕費用 負担金の納付

相続した土地・建物を売却するための登記・名義変更手続き

相続した土地や建物を売却するためには、まず登記名義を被相続人から相続人へ移す相続登記を行う必要があります。
この相続登記の進め方は、被相続人が遺言書を残しているかどうか、また相続人どうしで遺産分割協議を行ったかどうかによって異なります。
たとえば有効な遺言書がある場合には、その内容に沿って単独の相続人が登記申請を行うことができますが、遺産分割協議で複数の相続人が共有で取得する場合には、協議書を添付して共同で申請する形になります。
いずれの方法であっても、登記簿上の名義を現状に合わせておくことが、売買契約に進むための前提となります。

令和6年4月1日からは、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが法律上の義務になりました。
その一方で、新たに創設された相続人申告登記は、「自分が相続人である」という情報を法務局に申出する制度であり、相続登記の申請義務を満たすための手段として利用できます。
ただし、この相続人申告登記だけでは登記簿上の所有者名義は被相続人のままであり、土地や建物を売却したり、抵当権を設定したりすることはできません。
売却を完了させるためには、最終的に相続登記によって相続人名義へ所有権を移転し、その後に買主への所有権移転登記を行うことが不可欠です。

また、相続した建物が固定資産税の課税台帳などには記載されているものの、不動産登記簿には登録されていない「未登記建物」である場合もあります。
このような場合には、売却に先立って建物の所在・種類・構造・床面積などを登記簿に記録する表題登記を行い、その後に所有権保存登記や相続登記を進める必要があります。
建物が未登記のままだと、売買契約書を作成しても登記簿上に建物自体が存在しないことになり、買主への所有権移転登記ができません。
したがって、土地・建物を円滑に売却するためには、相続登記だけでなく、必要に応じて表題登記や所有権保存登記も含めて、事前に必要な登記手続きを整理しておくことが大切です。

手続きの種類 主な目的 売却との関係
相続登記 名義を相続人へ変更 売買契約の前提条件
相続人申告登記 相続人である旨の申出 義務履行のみで売却不可
建物の表題登記 未登記建物の基本情報登録 建物売却前の必須手続き

親から相続した土地を売却したときの税金と特例制度

相続した土地や土地付き建物を売却すると、多くの場合は譲渡所得税と住民税がかかります。
譲渡所得は、おおまかに「売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額」が基本となります。
取得費には被相続人が当時支払った購入代金や建築費、仲介手数料などが含まれますが、資料が残っていないときは概算取得費として売却価格の一定割合を用いる方法もあります。
また、譲渡所得の金額や保有期間、居住用かどうかによって、適用される税率や特別控除が変わるため、事前に整理しておくことが重要です。

譲渡所得の計算では、取得費に加えて、売却のために支払った仲介手数料や測量費、建物の解体費などの譲渡費用も差し引くことができます。
ここからさらに、マイホームの売却などで適用される特別控除がある場合は、その控除額を差し引いた残りが課税対象となります。
相続により取得した土地や建物でも、被相続人や相続人が居住していた一定の要件を満たす場合には、居住用財産の特例の対象となる場合があります。
ただし、特例と損益通算や他の控除との関係は複雑なため、安易に自己判断せず、売却前に適用の可否を確認しておくことが大切です。

相続した空き家を売却した場合には、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例が設けられています。
この特例は、被相続人が1人で居住していた家屋であること、相続開始から一定期間内に耐震改修や取り壊しのうえで売却すること、相続開始時点で被相続人以外に居住者がいなかったことなど、細かな条件があります。
また、家屋が区分所有建物である場合や、相続後に賃貸や事業用として利用した場合など、適用できないケースもあります。
適用を受けるには、国税庁が示すチェックシートや必要書類の一覧を参考にしながら、売却前から条件を満たすように準備を進めることが重要です。

ポイント 概要 主な注意点
譲渡所得の計算 売却価格から取得費等控除 取得費不明時は概算検討
3,000万円特別控除 相続空き家の譲渡所得控除 期間要件と居住要件の確認
確定申告 翌年の申告で税額確定 申告期限と書類不足に注意

相続した土地や建物を売却して譲渡所得が生じた場合には、原則として翌年に確定申告を行う必要があります。
確定申告の期間は、通常は翌年の2月中旬から3月中旬までと定められています。
申告にあたっては、売買契約書や領収書、登記事項証明書、相続を証する戸籍関係書類、特例を適用する場合の各種証明書など、多くの書類を揃えなければなりません。
申告期限までに必要書類が揃わないと、特例が適用できなかったり、加算税や延滞税の負担が生じたりするおそれがあるため、売却前から逆算して準備しておくことが大切です。

相続した土地・土地付き建物を手放すかどうか判断するポイント

まずは、相続した土地や土地付き建物をそのまま保有した場合に、毎年どの程度の負担が発生するかを整理しておくことが大切です。
代表的なものとして、固定資産税や都市計画税のほか、管理のための交通費や清掃費用、草木の伐採費用などが継続的にかかります。
さらに、空き地や空き家の状態で放置すると、雑草の繁茂や建物の老朽化による近隣への迷惑、災害時の倒壊リスクなど、管理責任上のリスクも高まります。
これらの金銭的・時間的・心理的な負担を把握したうえで、保有するか手放すかを検討することが重要です。

次に、相続した土地の具体的な活用方法として、売却・賃貸・国庫帰属制度の利用など、いくつかの選択肢を比較する必要があります。
売却は、早期に現金化して管理負担を解消したい場合に適しており、賃貸は、一定の管理負担を引き受ける代わりに継続的な収入を得たい場合に向いています。
一方で、要件を満たす土地については、相続土地国庫帰属制度により国に引き取ってもらうという方法もありますが、審査や負担金の納付が必要となることを踏まえた検討が欠かせません。
このように、それぞれの方法の特徴と向き不向きを整理し、自身や家族のライフプランに合う選択肢を選ぶことが大切です。

さらに、相続した土地や建物の活用方針を決める際には、一定の場面で専門家へ相談することも重要です。
例えば、相続人が複数いる場合の権利関係の整理や、売却・賃貸・国庫帰属制度のいずれが経済的・法的に有利か判断したい場合には、法律や税務の専門知識が必要になります。
また、将来的な資金計画や相続人間の公平性を踏まえた意思決定を行うためには、税金や相続手続きに詳しい専門家の助言が有用です。
このような相談を通じて、思い込みや不十分な情報に基づく判断を避け、家族にとって納得度の高い結論を導くことができます。

選択肢 向いているケース 注意すべき点
売却 早期現金化希望 譲渡所得税負担
賃貸 安定収入を重視 管理業務の継続
国庫帰属 利用予定が皆無 要件審査と負担金

まとめ

相続した土地や土地付き建物の売却には、登記手続きや税金、国庫帰属制度など複雑なポイントが数多くあります。
手続きの順番や期限を誤ると、思わぬ追加費用やトラブルにつながるおそれもあります。
一方で、適切に売却を進めれば、固定資産税や管理の負担を減らし、資金として有効に活用することも可能です。
当社では、相続登記や売却の流れ、税金の基本まで丁寧にご説明し、お客様の状況に合った進め方をご提案します。
「どこから手を付ければよいか分からない」という段階でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

”不動産売却”おすすめ記事

  • 相続不動産の土地建物は一括売却が得か?税金や手続きの基本を整理して解説の画像

    相続不動産の土地建物は一括売却が得か?税金や手続きの基本を整理して解説

    不動産売却

  • 共有持分の土地付き建物どうする?買取と売却の進め方を解説の画像

    共有持分の土地付き建物どうする?買取と売却の進め方を解説

    不動産売却

  • 共有名義の土地相続で悩む方へ!売却の方法と後悔しない進め方を解説の画像

    共有名義の土地相続で悩む方へ!売却の方法と後悔しない進め方を解説

    不動産売却

  • 住み替えで自宅売却する際住宅ローン控除は継続できるか?税負担を抑える条件と注意点を解説の画像

    住み替えで自宅売却する際住宅ローン控除は継続できるか?税負担を抑える条件と注意点を解説

    不動産売却

  • 住宅ローン残債があっても住み替えできる?自宅売却の方法と注意点を解説の画像

    住宅ローン残債があっても住み替えできる?自宅売却の方法と注意点を解説

    不動産売却

  • 住み替えで自宅売却は大丈夫?住宅ローンの失敗例と対策を解説の画像

    住み替えで自宅売却は大丈夫?住宅ローンの失敗例と対策を解説

    不動産売却

もっと見る